天から貰った自分の実力で米塩の資を得る事は、必ずしも富をむさぼる悪業では無いと思います。俗といって軽蔑するのは、間違いです。お坊ちゃんの言う事です。いい気なものです。
太宰治『清貧譚』
世の中に於(お)ける位置は、諸君が学校を卒業すれば、いやでもそれは与えられる。いまは、世間の人の真似をするな。美しいものの存在を信じ、それを見つめて街を歩け。最上級の美しいものを想像しろ。それは在(あ)るのだ。学生の期間にだけ、それは在るのだ。
太宰治『諸君の位置』
安くておいしいものを、たくさん食べられたら、これに越した事はないじゃないか。当り前の話だ。すなわち食通の奥義である。
太宰治『食通』